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経済

石油消費は「減退」しない

「バレル百ドル」に向かうこれだけの根拠

2010年5月号

 世界経済を恐怖に陥れたリーマン・ショックから一年半、再び原油価格が上昇を始めている。四月上旬にはウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油価格が一バレル=八十七ドル台を突破して二〇〇八年秋の水準にまで戻り、百ドルも目前という状況になっている。
 三月から始まった原油価格上昇の背景には、中国、インドをはじめとした新興経済発展諸国の、予想よりも早い高度成長経済への回復と米国景気の復調がある。米国の平均株価指数も〇八年秋の水準に戻り、鉱工業生産指数も急激に回復していることから石油需要が急増している。実際、今年二月の米国ガソリン需要は二月実績としては過去最高を記録した。
 世界の石油需要はすでに日量八千六百万バレルを超え、リーマン・ショック以前の水準まで回復している。中国の一〇年第1四半期の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比で一一・九%と驚異的な成長となったが、石油需要も同一五%も伸びている。
 世界の石油消費の三分の一を占める米国と中国の好景気を見た市場が、原油の先物買いに再び走っているのだ。

類まれな高い「経済性」

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