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社会・文化

弁護士業界が群がる第二の金脈

「潜在市場」八兆円の未払い残業代

2010年5月号

「危機感を抱く企業側から法律事務所への問い合わせが、水面下で活発化しています。背景には、国際会計基準(IFRS)への対応があり、弁護士業界でも企業側のみならず、被害者側への働き掛けを強めようとしています」
 経済誌記者がこう明かすのは、企業における「未払い残業代」問題への対応である。四月一日の改正労働基準法への対応が一つの端緒になっているが、二〇一五年三月期から強制適用されるIFRSへの対応は、大手企業にとっては喫緊の課題である。
「IFRSにおいては、未払い残業代は会計上の負債として計上されるため、これまでの労務対策とは一線を画した対応が必要になり、企業側にとって軽視できない問題となった」(前出経済記者)という。
 こうした外部環境の変化をもっけの幸いと、目ざとくビジネスチャンスを見出す弁護士業界の有象無象。〇六年以降の無理な弁護士増員政策の結果、食い扶持の確保が難しくなる中で、依頼人を駆りたてて企業の弱みに付け込もうと虎視眈々と機会をうかがっている。
 六月の改正貸金業法の施行によってグレーゾーン金利が撤廃され、過払い利息返還請求が曲が・・・