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韓国政権が抱える深刻なジレンマ

今回も「泣き寝入り」するしかない

2010年6月号

「今回ばかりは完全に音無し。まったく動きがなかった」
 朝鮮半島の外交筋によれば、韓国政府が「哨戒艦天安沈没事件」を北朝鮮の犯行とした調査結果の公表に関して、韓国の情報機関、国家情報院はほとんど事前の宣伝工作をしなかったという。同筋はこれについて「それだけ李明博政権が真剣だったという意味。敵は外のほかに『内にもいる』のだから」と解説した。
 実のところ、北朝鮮を断罪する李明博大統領の自信と厳しさに満ちた表情からは想像できないほど、韓国社会は反北朝鮮の保守勢力と親北朝鮮の野党に分断されている。
 さらに、好調な経済への影響も考えられ、韓国政権は深いジレンマに陥っている。六月二日の統一地方選挙や二年後の大統領選挙の情勢をも睨んで強気の姿勢は見せるものの、実際は米中両国に下駄を預け、自ら有効な対抗策は打ち出せない見通しが広がっている。

最大の敵は「親北世論」


 李政権は三月二十六日の沈没事件発生当初、事故説に重心を置いていた。それは、昨年十一月のデノミ(通貨呼称単位の変更・・・