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社会・文化

世界が認め始めた日本人建築家の実力

いまや貴重な輸出品

2010年7月号

 今年三月二十九日、「妹島和世、西沢立衛によるSANAA(二人のユニット名)、プリツカー賞受賞!」のニュースが、twitterのタイムラインに飛び込んできた。建築関係者にとっては衝撃の、しかし納得できるニュースだ。ジェイ・プリツカーによってプリツカー賞が創設されたのは一九七九年と比較的新しいが、「建築界のノーベル賞」といわれる権威を認められた賞である。日本人では過去に、丹下健三(八七年)、槇文彦(九三年)、安藤忠雄(九五年)が受賞している。今回の受賞は、日本人建築家の世界における活躍と評価が、ここ数年特に高まっていることを象徴しているが、建築こそ日本が世界に誇る分野であることは、当の日本では意外に知られていない事実であろう。

国際コンペティションでの快進撃


 二〇〇〇年以降、建築界においてもグローバリズムが加速し、日本人建築家の本来の実力は、ようやく海外においても正当に評価され始めてきた。九〇年代までの日本人建築家の海外での活躍は、日本での名声をもとに海外から声がかかるという場合がほとんどであっ・・・