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WORLD

「ビンラディン」今いずこ

「父はまだ生きている」

2010年10月号

 ニューヨークの「グラウンド・ゼロ」付近へのモスク建設問題や、これと関連してコーラン焼却を叫ぶ「牧師」が現れるなど米国社会が揺れていることを評して、イスラエルのある知識人は「ビンラディンは『これ以上望めない最大の成果が上がった』と喜んでいるだろう」と言った。ただ、ビンラディンは今もアフガニスタンの山中でこの情景を衛星テレビなどで見てはほくそ笑んでいるのだろうか。それとも「草葉の陰」から喜んでいるのか。九年前に起きた9・11事件の首謀者として莫大な懸賞金(五千万ドル)の懸かった男の生死は、二〇〇一年秋の米軍によるアフガニスタン攻撃直後にトラボラの山中で忽然と足跡を消して以来、全く分かっていない。

死は隠せない


 死亡説やCIAエージェント説など、様々な憶測が飛び交うのは当然だ。生存している同容疑者を目撃した、という信頼できる情報が途絶えて足かけ十年が経った。時折、インターネットを通じて出される音声や映像のメッセージは、いかにも本人のもののようであるが、タイミングや内容が米国の戦争継続に絶好の口実を・・・