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社会・文化

「国技」囲碁でも中韓が席捲

「ウィンブルドン化」は止まらない

2010年10月号

 十一月に中国・広州で開かれるアジア競技大会。このスポーツの祭典に囲碁が初めて競技種目として採用される。日本の伝統文化だった囲碁が世界的に普及した証しであり、メディアを通じてトップ棋士同士が国・地域を代表して真剣に戦う様が伝われば、さらなる普及にもつながる話だが、日本の囲碁関係者の表情は複雑だ。最近、日本の棋士が中国、韓国勢に勝てず、ヘタすればメダルなしという結果に終わりかねないからだ。
 アジア大会では一チーム五人の男子団体戦と、同三人の女子団体戦、それに男女が交互に打つ混合ダブルス(ペア碁)でメダルを争う。日本からは、男子は山下敬吾、井山裕太、高尾紳路ら、女子は鈴木歩、向井千瑛らが出場する。
 日本としてはほぼベストメンバーだが、中国、韓国はもっと強力メンバーだ。男子では、中国は古力や孔傑、韓国は李昌鎬や李世ドルら世界戦優勝経験者が中心で、日本勢がほとんど勝ったことのない相手ばかり。金メダルは地元・中国と韓国の争いとなるとの見方が大勢だ。さらに、日本で現在三冠を保持する張栩が母国の台湾チームから出場するため、日本の銅メダルも危ぶまれている。
 男・・・