三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

米国は中国に圧倒的優位

両国軍事交流復活の意味

2010年11月号特別リポート

 いかにも国際社会で立派なメンバーとして役目を務めますといった態度で、自らを「平和台頭」などと称して国際社会に参入したはずだが、たちまち正体を曝してしまった。この数カ月間だけ観察しても中国軍部首脳の強硬発言が続き、南シナ海、次いで東シナ海の尖閣諸島にも漁船、監視船を入れ、背後に強力な海軍力をちらつかせる。自国の知識人がノーベル平和賞を受賞したにもかかわらず、「反体制派」に賞とは何ごとかと噛みつく。日本、米国、欧州など先進国のハイテク製品の生産にとって不可欠なレアアースの輸出を事実上停止する。
 ところが、その中国と米国は年初に停止した軍事交流をあっさり再開した。国際世論から袋叩きの目に遭ったあげく中国が譲歩したのではなくて、最初から米国には繊細に神経を配っているのだ。世界の軍事大国、経済大国の地位を築き上げたとはいえ、米国との力の差は熟知している。孫子を生んだ国柄だけに負ける戦いはしない。アフガニスタンで熾烈な戦いを続け、イラクから完全に撤退していない米国にとってもアジアでの紛争には巻き込まれたくない。とりあえず、軍事交流を再開し、来年初めにはゲーツ国防長官の訪中、胡錦濤主席・・・