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経済

トヨタが二番底不況の「引き金」に

日本経済を破壊する苛烈なコスト削減

2010年11月号

 日本経済に深刻な二番底不況が迫っている。その「引き金」を引くのはトヨタ自動車だ。ハイブリッド車「プリウス」などの販売を押し上げた政府によるエコカー補助金の終了で、二〇一一年三月期後半の国内販売は苦戦が確実。文字通り「ドル箱」だった北米市場に回復の兆しはなく、中国やインドなどの新興市場では出遅れ気味。「豊田家出身の社長を戴いて、二期連続の業績低迷は許されない」と経営体質改善を急ぐトヨタだが、その「特効薬」が調達コスト削減である。しかし、巨人・トヨタのなりふり構わぬコスト削減は、日本経済を根底から破壊する「劇薬」になりかねない。

振り回される「現場」


 トヨタの販売が振るわない。一〇年九月の国内販売(「レクサス」を除く)は前年同月比六・九%減の十三万百三十六台。国内新車総販売台数(軽自動車を除く)は同四・一%減(三十万八千六百六十三台)であり、トヨタ車の落ち込みが目立つ。
 同月の米国販売こそ同一六・八%増の十四万七千百六十二台と増加に転じたが、これは前年九月が米政府による販売促進策の終・・・