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WORLD

《世界のキーパーソン》カール・ローブ(米共和党顧問)

共和党のキングメーカー

2010年11月号

 民主主義大国アメリカには、巨大な選挙産業がある。参謀、世論調査会社から下働きまで様々な職種が確立している。ローブは大学時代から「選挙屋」稼業に入り、以後約四十年間、候補者を勝たせることによって、米社会の階段をのし上がってきた。
 ある統計によれば、選挙責任者として四十一の選挙に臨み、三十四勝。中でも、ブッシュ(子)の二つのテキサス州知事選、二つの大統領選での勝利は、ローブを米政治史上に残る人物に押し上げた。二〇〇一年のブッシュ政権誕生から〇七年八月の辞任まで、大統領の上級顧問、次席補佐官として強大な政治権力を握ったからだ。過去、選挙参謀がこれほど長期間、大統領の近くで米政治を左右したことはなく、「影の大統領」とまで呼ばれた。
 ブッシュ前大統領に「立役者」と称えられた伝説の参謀が、二〇一〇年の中間選挙で政界に復活した。「ティーパーティー(茶会)」ばかりが話題をさらった選挙戦で、全米の共和党候補に無尽蔵の軍資金を提供し続け、オバマ大統領と民主党を追い詰めていったのだ。公式の組織である共和党全国委員会も、共和党の議会指導部も及ばない、「影の共和党」(ニューヨーク・タイ・・・