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「中国封じ込め」へ動く米国

インド、インドネシアを取り込んで

2010年12月号特別リポート

 北朝鮮軍がいきなり韓国北西部・延坪島に数十発の砲撃を加えてきたというのに、いつもながら国民に「冷静な対応を」と繰り返す以外に能のない政府は論外だろう。国際情勢を地政学的観点に立って分析していることで売れっ子になっている米ジャーナリストのロバート・D・カプラン氏は、インド洋、南シナ海、東シナ海、日本海で囲まれるユーラシア大陸で激震が起ころうとしているのが現状だ、と喝破している。
 わけても昨年来外交方針を強硬路線に転換している中国を米国はどのように取り扱おうとしているのだろうか。
 十一月に行われたバラク・オバマ米大統領のインド、インドネシア、韓国、日本のアジア四カ国訪問の目的は「経済」が第一の目的であるとPRされたが、その実は強硬路線に舵を切った中国とのバランスをはかるため、インドを「アジアの大国」と位置づけ、インドネシアは「第二のインド」として戦略的関係を強めることにより、先ず対中、次いで対イスラム、対テロ対策など多面的な協力関係を構築するところに狙いがある。中間選挙で敗北を喫し、大統領の人気も下降気味で、アジア訪問の評価は概して厳しいが、共和党タカ派にむ・・・