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経済

ヤマダ電機に「変調」くっきり

綻び隠せぬ「攻めの経営」

2010年12月号

 本誌六月号で指摘の通り、家電量販首位のヤマダ電機に「分水嶺」が訪れた。次の成長市場としていた中国は、三年で五店程度を開くとしていた計画が出だしから躓いた。十一月中の仮オープンを予定していた瀋陽店は開業日を十二月十日以降に延期した。現地家電量販最大手の蘇寧電器などが立ちはだかり、商品調達が順調に進まないためと言われている。
 国内も芳しくはない。十一月四日に発表された一〇年四~九月期決算は、売上高こそ中間期として初の一兆円を突破したものの、流通担当アナリストは「売り上げ、営業利益の伸びは(業界四位の)ケーズホールディングスに抜かれ、下降局面に入った」と厳しい評価を下した。ある大手行のトップは「小売業界の最大の不安材料は家電量販店だ」といって憚らない。
「売り上げ目標三兆円、シェア三〇%」を掲げてここ数年、都市部に大型店を大量出店したヤマダだが、売り場面積の急拡大に取扱商品や従業員の育成が追い付かず、店内は「電化製品を並べているだけ」(同業他社幹部)。一部の店舗では薬や中古車などに手を広げたが、こうした多角化事業がすぐに軌道に乗るものではなく、中間期で叩き出した・・・