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経済

JA「コメ利権」は一層拡大へ

選挙向け「小泉茶番劇」の舞台裏

2025年6月号

 コメ政策が行き詰まる中、江藤拓農林水産相が更迭され、後任に小泉進次郎元環境相が就任した。2015年から17年にかけて自民党農林部会長として農業協同組合(JA)改革を推進した経緯から、政策転換に向けて期待が高まっている。特に就任2日後に表明した「店頭でコメ5㎏2千円を実現」は鮮烈な印象を与えた。
 ただ、自民党とJAの現在の関係は「運命共同体」と言ってよいほど堅固だ。コメ政策の転換は、夏の参議院議員選挙を意識したパフォーマンスに終わる可能性が高い。「自民党=JA」による改革には限界があり、自民党が下野するか政界再編が実現しない限り、抜本的な改革は期待できない。
「コメは買ったことがない」という失言が問題となった講演会は、5月18日に佐賀市内で開かれ、登壇した江藤氏はいきなり「総裁選で一度も石破茂と書いたことはありません」と切り出した。「ウケ狙い」とは思えない。農業政策に一家言持つ石破首相との距離感を強調することで、農林族本流の実力者としてのプライドを示し、会場に集まった佐賀県のJA関係者に安心感を与えたかったのだろう。

JA改革は決着済み・・・

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