日本製造業を待つ「最悪シナリオ」
「関税倒産」続出の現実味
2025年6月号
米中間の関税戦争は「90日間停戦」に入ったが、対米輸出をめぐる日本はじめ各国の混乱はむしろ拡大し、世界の産業エコシステムを崩しつつある。日本と中国、東南アジア各国を結ぶ精緻な“モノづくりピラミッド”による利益構造をつくった日本製造業は呆然と立ちすくむ状況にある。中国から他国への生産移管を進めようとしても、「どこの国に行けばいいのか」は見えない。米国の客先の多くは「追加関税の全面負担を拒否」しており、税負担が本格化する7月には「資金繰り難によるトランプ倒産が始まる」と予想する会計監査法人もある。
「脱中入越」が落とし穴に
「当社による関税負担は上乗せ分の半分。残りは御社でご対応ください」。日本のある自動車部品メーカーは5月半ば、電装部品を納める米国の取引先数社からこう通告された。トランプ関税が具体化してから交渉を進めてきた結果だ。
負担をめぐる交渉では奇妙なことが起きていた。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード・モーター、テスラの米国3社やカナダ資本の部品メーカーはトランプ・・・
「脱中入越」が落とし穴に
「当社による関税負担は上乗せ分の半分。残りは御社でご対応ください」。日本のある自動車部品メーカーは5月半ば、電装部品を納める米国の取引先数社からこう通告された。トランプ関税が具体化してから交渉を進めてきた結果だ。
負担をめぐる交渉では奇妙なことが起きていた。ゼネラルモーターズ(GM)、フォード・モーター、テスラの米国3社やカナダ資本の部品メーカーはトランプ・・・