三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

「大丸有」という東京新名所

経済と文化が共存する稀有な街

2010年12月号

 大手町、丸の内、有楽町を総称し、近年「大丸有」と呼ぶ。特色の異なる地域性を一体的にエリアマネジメントしていこうとする考えは興味深い。
 映画や演劇など、娯楽の街として賑わう有楽町。官庁街の暗いイメージがつきまとうも、今再開発の渦中にある大手町。そして、「大丸有」の中心に位置する丸の内は、ビジネス街として近代日本のトップランナーの地位であり続ける。
 十年ほど前までは、夜になると人通りが消え失せ、寂しい光景を印象づけていたが、近年、丸ビル、新丸ビルに代表される大規模再開発が活発に進められた。その目玉の一つが「仲通り」の遊歩道化である。巨大ビル単位の発想ではなく、街を歩く大切さがアピールされ、今では夜も人通りが絶えない賑わいの場となった。
 丸の内の開発は、数ある都市開発と一線を画す。丸の内に息づく歴史的要素にまで掘り下げ、異なるかに思われる「文化」と「経済」という二つのベクトルの共存が街の設計思想の根幹だからだ。これは、東京都心の将来像を描く上で極めて重要な意味を持ち、今後の「大丸有」エリアの都市開発次第で、世界に冠たる国際的歴史都市空間を東京都心に・・・