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経済

原油「暴落」の日は遠くない

サウジの「大増産」に怯える市場

2013年12月号

「一九七三年の第一次石油危機以来、最悪と言って間違いない」。ワシントンを本拠とする中東関係のコンサルタントが最近、訪問した日本の石油業界関係者にこう漏らした。米国とサウジアラビアの関係である。  コンサルタントがさらに指摘したのは「サウジの石油戦略発動の可能性」だ。「石油戦略」と聞いて、ピンとくる人はもはや多くはないだろう。  七三年十月六日、第四次中東戦争が勃発した。エジプト、シリアなどアラブ側は奇襲によって緒戦に勝利したが、イスラエル側の大反攻で、カイロ、ダマスカスが陥落する危機に見舞われた。そこでサウジがアラブの友邦を救うために取ったのが「石油戦略」である。  サウジのファイサル国王の決断であり、アラブ産油国は米国とその同盟国に対し、石油禁輸に踏み切った。これが第一次石油危機であり、原油価格は三ドル台から一〇ドル前後まで暴騰した。産油国が石油を政治的武器に使った初めてのケースだった。  だが、今回、サウジが発動する可能性のある石油戦略は逆の「原油価格暴落」である。いったいサウジは何を求めているのか。 高値要因は雲散霧消する ・・・