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中東「大再編」の読筋

ひと時の平和と「憎悪の濃縮」

2025年7月号特別リポート

 イスラエルによる対イラン攻撃と米軍によるイラン核関連施設空爆で高まった域内の緊張は、イスラエルとイランの停戦合意でひとまず収束する方向だ。米、イスラエルがイランの政権転覆、打倒まで目指す動きを見せるなか、緊張が再燃する可能性は残る。今回の作戦は、両国が思い描く中東グレート・リセット(大規模再編)の一環としてみるべきだろう。圧倒的な軍事力で敵を無力化する「力による平和」は実現するのか。それは持続可能なのか。
「完全な停戦で合意した」
 トランプ米大統領は米時間の6月23日、SNSでの投稿でイスラエルとイランとの停戦の仲介を演出した。「(両国が)12日間の戦争を終わらせるための忍耐力や勇気、知性を示したことに心から感謝する」。
 6月13日から攻撃を開始したイスラエルは、イラン軍や革命防衛隊の幹部、科学者らを相次いで殺害し、制空権も奪った。米軍は最新の超大型地中貫通弾バンカーバスター「GBU-57」を実戦で初めて投入し、地下の核関連施設を破壊した―。
 攻撃は「イランの核開発計画を数カ月後退させただけ」との米国防情報局の初期段階の分析(ニューヨーク・・・

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