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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》ルポ「大阪万博」

壮大な「インチキ」を楽しもう

2025年8月号

 大阪・関西万博は、行けば面白い。始まる前から「失敗」を約束された壮大な無駄遣いには違いないが、始まってしまった以上どんなものか見てやれと発想を切り替え、閉幕後の難題山積には目をつぶって足を運んでみれば、やっぱりそこには見るべき何かがある。面白いかどうかは人によるが、そもそも万博は「誰も見たことのない未来を見せます」というトンデモない大ボラ吹きイベントである。何がレガシー(遺産)になるかは、開催中でも分からない。
 エッフェル塔は1889年(フランス革命100年)の第4回パリ万博の記念建造物である。最初はノートルダム寺院の5倍の高さの石造り案だった。建造不能と分かり、19世紀の工業を象徴する鉄製の骨組みだけに変更されたが、作家のモーパッサンら文化人が「パリの景観を壊す」と大反対。しかし、出来上がると会期中200万人が水圧式エレベーターで塔に昇り、市街を眺めて喜んだ。20年で解体予定だったが、パリのシンボルとして残った。
 1970年の大阪万博は岡本太郎の太陽の塔が有名だが、モニュメントは別にあった。著名建築家、菊竹清訓の「エキスポタワー」である。丹下健三らによる40・・・

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