高血圧「治療対象拡大」の奸計
高齢者の無駄な服薬は危うい
2025年10月号
高齢者、特に75歳以上の後期高齢者への降圧剤投与は副作用が多く、薬効を上回る害をもたらす可能性が複数の臨床試験で示されている。ところが日本高血圧学会は治療対象となる血圧値を「140/90mmHg」未満から「130/80mmHg」未満に引き下げた。要治療の患者数が大きく増えるため、「『薬害』が広がるのではないか」との懸念の声が聞かれる。引き下げの背景には患者ではなく、「医者ファースト」の影がちらついている。
引き下げは8月29日に同学会が公表した『高血圧管理・治療ガイドライン2025』で示された。最大のポイントは全年齢・全病態に対し、降圧目標を一律130/80mmHg未満に統一したことだ。
これまで75歳以上の高齢者や脳血管障害、蛋白尿陰性の慢性腎臓病患者については、医薬品の服用後に起こる健康上の問題である有害事象への配慮から140/90mmHg未満と区別していたが、今回その除外規定は削除された。
6年ぶりとなる今回の改訂にあたり、同学会は信頼性の高い結論を導き出す研究手法である「最新のシステマティックレビュー」と複数の研究結果に基づきより高い見地か・・・
引き下げは8月29日に同学会が公表した『高血圧管理・治療ガイドライン2025』で示された。最大のポイントは全年齢・全病態に対し、降圧目標を一律130/80mmHg未満に統一したことだ。
これまで75歳以上の高齢者や脳血管障害、蛋白尿陰性の慢性腎臓病患者については、医薬品の服用後に起こる健康上の問題である有害事象への配慮から140/90mmHg未満と区別していたが、今回その除外規定は削除された。
6年ぶりとなる今回の改訂にあたり、同学会は信頼性の高い結論を導き出す研究手法である「最新のシステマティックレビュー」と複数の研究結果に基づきより高い見地か・・・