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経済

村上ファンド 「跡目相続」の行方

悩める世彰はどの子に託すか

2025年11月号

 日本株に投資するアクティビストの代名詞と言っても過言ではない村上世彰。直近では時価総額約8千億円のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)を20%近く保有し、その総資産は1兆円が視野に入ったともいわれる。強制捜査を受けて逮捕された2006年、村上ファンド全盛時代の運用額は5千億円弱で、その額を自己資産のみで上回った形だ。
 株価純資産倍率(PBR)1倍割れの企業に苛烈に株主還元やMBO(経営陣の参加する買収)を迫り、企業経営者からは忌み嫌われる存在だが、「大っぴらには言えないけど村上さんはすごいよね」という「隠れトランプ支持者」ならぬ「隠れ村上ファン」の経営者も実は多い。
 とりわけオーナー社長からすれば、一代で資産数千億円以上を築き上げた村上は希代の起業家として共感・尊敬できるのだろう。逮捕時にはCCC創業者の増田宗昭など名だたる経営者がお忍びで面会に駆け付けたという。村上自身も、弱腰の経営者には嵩にかかって挑みかかるが、戦略や展望をはっきりと言い返してくる経営者は「大したやつだ」と認めてそれ以上エスカレートしないこともある。
 投資先企業のみならず・・・

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