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トルコが狙う中東復興の主導権

ガザ・シリア利権の「両獲り」を画策

2025年11月号

 トルコは中東再編の初動で主導権の奪回に動き始めた。ここ最近、存在感を落としていたトルコは、ガザやシリアの戦後再建の入り口で裏交渉を進め、意思決定の中枢に戻りつつある。エルドアン大統領の老練な裏外交で米国・ロシア・湾岸諸国を束ね直し、発言力を引き上げている。
 2年を超えるイスラエルのガザ攻勢に国際社会が疲弊するなか、9月末にトランプ米大統領が示した20項目の和平案は、ハマスにとって不利な設計だった。それでも第1段階の停戦と「全人質の解放」を受け入れるところまで、合意は動いた。ここで梃子を利かせたのは、トランプ大統領でも後援国カタールでもない。トルコだった。かつて米国にとって「扱いづらい関係」と見なされていたトルコ=ハマスの関係は、今や地政学的な“資産”へと変わった。

ロシアのシリア関与を継続

 その前段階として、エルドアン大統領は6年ぶりにホワイトハウスを訪問し、両国外交の再調整を加速させた。会談の中心にあったのは、米国のシリアでのクルド勢力支援停止、そしてトルコのロシア製・・・

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