本に遇う 第312話
冤罪はなぜ起きたか
河谷 史夫
2025年12月号
立法、行政、司法という国の三権のうち、立法や行政より比較的高いと思われていた司法への信頼度が、急激に低落している。「あってはならない」冤罪事件が繰り返されるからである。
1980年代に、免田事件をはじめ強盗殺人など刑事事件の確定死刑囚が再審無罪となって生還するということが4件続けてあった。当然、司法の制度と実態について吟味と反省がされたはずだが効果はなかったらしい。
1966年に発生した袴田事件の再審無罪は、2024年になってやっと確定した。拷問で自供に追い込まれた犠牲者は刑死こそ免れたが、獄中48年の間に精神を病んでしまっていた。
冤罪の「冤」という字は、白川静著『字通』を引くと、冂と兔から成る会意文字である。
後漢の許慎が作った最古の漢字字典『説文解字』に「屈するなり。兔に従ひ、冂に従ふ。兔、冂下に在り、走ることを得ず、益々屈折するなり」とあり、兔が冂(境界)のうちに捕らえられ、逸脱することのできぬ意で、脱出するものを逸というのに対して脱出しえないさまをあらわすという。
不幸にして罪せられることが「冤」で、無実の罪を冤枉・・・
1980年代に、免田事件をはじめ強盗殺人など刑事事件の確定死刑囚が再審無罪となって生還するということが4件続けてあった。当然、司法の制度と実態について吟味と反省がされたはずだが効果はなかったらしい。
1966年に発生した袴田事件の再審無罪は、2024年になってやっと確定した。拷問で自供に追い込まれた犠牲者は刑死こそ免れたが、獄中48年の間に精神を病んでしまっていた。
冤罪の「冤」という字は、白川静著『字通』を引くと、冂と兔から成る会意文字である。
後漢の許慎が作った最古の漢字字典『説文解字』に「屈するなり。兔に従ひ、冂に従ふ。兔、冂下に在り、走ることを得ず、益々屈折するなり」とあり、兔が冂(境界)のうちに捕らえられ、逸脱することのできぬ意で、脱出するものを逸というのに対して脱出しえないさまをあらわすという。
不幸にして罪せられることが「冤」で、無実の罪を冤枉・・・









