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ロシア「海外破壊活動」の猛威

プーチンが暗殺を狙う「敏腕記者」

2025年7月号

 ヨーロッパ各地でロシアの諜報機関による破壊活動が頻発している。カネで雇った「Dispos
able Agents(使い捨て工作員)」をリモートで操り、反体制派や政治家らの監視、誘拐、暗殺、軍事・民間施設の放火などを企てている。自由・民主主義を意に介さないアメリカのドナルド・トランプ政権がロシアのウラジーミル・プーチン政権にすり寄るなか、魔の手が国境を越えて個人にも迫る。
 イギリスの中央刑事裁判所が5月、ロンドンに住むブルガリア国籍の男女6人に対し、5年から11年8カ月の懲役刑の判決を下した。ロシアの諜報機関の命令を受け、2020年から23年にかけてスパイ活動を行っていた。彼らはヘルスケアやインテリア業に携わる素人ながら、200台以上の携帯電話や11機のドローン、高度な盗聴装置などを所持していた。
 グループの最大の標的はブルガリア出身の調査報道ジャーナリスト、クリスト・グロゼフだった。彼の自宅に不法侵入してコンピューターを盗んだほか、グロゼフのウィーンの自宅の放火、誘拐、殺害、ハニートラップまで企てていたことがモスクワとの交信内容から明らかにされた。{・・・

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