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《世界のキーパーソン》スティーブン・ミラン(大統領経済諮問委員長)

トランプ経済戦略の妄想的軍師

2025年7月号

 ドナルド・トランプ米大統領の関税政策は、当然のことながら、海外で評判が悪い。
 経済学者たちの評価も概して厳しい中で、断固信念を曲げないのが、気鋭の経済学者であるスティーブン・ミランだ。今年41歳にして、大統領経済諮問委員会の委員長を務めている。
 ミランは第1次トランプ政権でも、スティーブン・ムニューシン財務長官の下で財務省スタッフとして短期間働いた。それが今回は閣僚級の要職に抜擢された。「正直なところ、それ誰? 何者? というのが、最初の反応だった。政治記者はノーマークで、金融関係者にもほとんど知られていなかった」と、米紙経済記者は言う。
 ボストン大学を卒業後、ハーバード大学の博士課程に進んだ。20代半ばで経済学博士を取得していることから、非常に優秀な学生だったことが分かる。
 彼の指導教授はマーティン・フェルドシュタイン。ロナルド・レーガン大統領時代に、大統領経済諮問委員会の委員長を務めた、保守派の大立者だ。ミランはかつての師匠と同じポストに就いた。
 ミランは大学には残らず、ウォール街に飛び込んだ。「ハドソン・ベイ・キャピタ・・・

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