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経済

《企業研究》豊田自動織機

上場廃止「章男支配」の私利私欲

2025年7月号

「内紛」の芽を孕みながらの“退場劇”となりそうな情勢だ。
 トヨタ自動車を中心とする陣営による買収・株式非公開化提案の受け入れを6月3日表明したグループ源流企業の豊田自動織機。これに「少なからず不快感を募らせている」(自動車業界関係者)とされるのが、豊田鐵郎氏だ。トヨタの「中興の祖」と言われる豊田英二氏(創業者・豊田佐吉の甥、故人)の次男で、豊田織機の前会長。現在は同社相談役を務め、創業家にも一家言を持つ存在だ。
 電動化や知能化など「100年に一度の大変革期」と呼ばれる自動車業界。各社とも研究開発や設備新設などに莫大な投資を余儀なくされ、生き残りに余念がない。そのいわば「危急存亡」時に、巨額の資金をグループ企業の非公開化に投じるというのは「果たして適切な経営判断といえるのか」。そんな疑念が底流に燻っているとも取り沙汰される。
 買収総額は約4・7兆円にものぼる代物だ。スキームは複雑。グループの資産管理会社的役割を持つトヨタ不動産(名古屋市)が1765億円を普通株出資、トヨタが7060億円を議決権のない優先株で出資して実質的な買収主・・・

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