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アフリカ東部で跋扈する「アル・シャバブ」

米国が警戒するイスラム過激派

2011年1月号

 アフリカ東部各国で、破綻国家ソマリアを根拠地とするイスラム過激派組織「アル・シャバブ」(アラビア語で「青年」)の活動が活発になっている。各地での破壊活動はもちろん、アルカーイダとの連携を模索するなど、この地域だけでなく、中東をも巻き込んだ不安定要素だ。その存在は、米国へのテロの脅威として顕在化しており、さらには遠く離れた日本とも無縁ではない。

活動地域を拡大


 アル・シャバブの母体は、ソマリアでイスラム国家樹立活動をしていた「イスラム法廷連合(ICU)」である。一九九〇年代以降、宗教・氏族間の勢力争いが激化する中で、ICUは二〇〇六年に首都モガディシュを制圧しソマリア支配を確立した。しかしその直後、キリスト教国である隣国エチオピアの軍事介入により敗退させられた。アル・シャバブはこのICUの過激勢力を中心に軍事組織として分派した団体だ。
 〇九年にICUの流れをくむ穏健派シェイフ・アフマド大統領が誕生した後も、ソマリア暫定連邦政府への攻撃を続け、アフリカ連合(AU)軍などが掃討作戦を行・・・