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社会・文化

検察は「蘇生」できるか

手腕問われる「現場派」検事総長

2011年1月号

 大阪地検特捜部による証拠改竄事件は、とうとう大林宏・検事総長の首を差し出させる事態に陥った。究極の腐敗のツケである。後任には笠間治雄・東京高検検事長が抜擢された。久々の現場派検事総長の登場である。検察再生の切り札として期待の声が上がるが、一方でイバラの道を強いられかねず、“捨て石人事„ との見方もある。
 大林氏は二〇一〇年六月、戦後第二十五代の検事総長に就任したばかり。それが半年足らずで辞任するはめに。戦後検察史上、検事総長が引責辞任したのは初めてのことだ。これまで検察部内では不祥事や無罪判決、事件捜査の失敗があっても、責任など取ったためしがないのが検察一家だった。
 一九五四年の「造船疑獄」では指揮権が発動され、犬養健・法相は責任を取って辞任したが、当の佐藤藤佐検事総長は総長の椅子に座り続け、七年間も検察トップとして君臨、顰蹙をかった。取り調べ検事による暴行事件があったときも、民主党の小沢一郎元代表関連捜査が失敗したときも、検察の裏ガネ「調査活動費」問題が指摘されたときも、トップや幹部が責任を取るなどということはなかった。検察秩序・・・