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社会・文化

中国で「覇権」争うボルドーワイン

火花散らす二つのロスチャイルド家

2011年1月号

 世界中のワインの頂点に立つボルドーの一級シャトーが、成長する中国市場をめぐってしのぎを削っている。ラフィット・ロスチャイルドとムートン・ロスチャイルド。ロスチャイルド一族のパリとロンドンの分家を祖とする一族が、それぞれ所有するシャトーは、二〇一一年春に発売される〇八年ヴィンテージで、中国シフトを鮮明に打ち出した。

「賄賂代わりになるから」


 ラフィットは端正なラベルの上に、中国で縁起のよい数字「八」を赤字でプリントした。十九世紀から続く歴史の中で初めての試みだ。ラフィットの持ち株会社「ドメーヌ・バロン・ド・ロスチャイルド・ラフィット」(DBRラフィット)は一〇年十月末、「中国のワインプロジェクトの立ち上げを記念し、畑の斜面を象徴する数字を入れた」と発表した。ラフィットは〇八年、山東省で、国営企業「中国中信集団公司」とジョイント・ヴェンチャーでワイン生産に乗り出したのだ。「中国のボルドー」と呼ばれる土地で、将来の高級ワイン生産を狙っている。
 対するムートンは約一カ月後、毎年変わるアー・・・