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アルカーイダの「ふるさと」イエメン

米国はどう「統治」するのか

2011年2月号

 北アフリカのチュニジアで、後に「ジャスミン革命」と呼ばれることとなる民衆蜂起が深刻さの度合いを増していた頃、クリントン米国務長官はイエメンにいた。
 新年早々、同国を含むアラビア半島の国々を歴訪したクリントン国務長官の用向きは明白であった。米国は足かけ十年を対テロ戦争に費やしたが、際立った戦勝を収めることができなかった。それだけではない。オサマ・ビンラディンらを山中に取り逃がしたまま、今年はいよいよアフガニスタンから本格的な撤退をしなければならないのだ。しかし、米国本土や海外の米国権益、航空機等を狙ったテロ発生の危険性は少しも軽減していない。
 二〇一一年、米国はこれまでの軍事力一辺倒のテロ対策から、「よりバランスの取れた」政策に転換する……。これがオバマ政権の描く、偽らざる外交方針、特に中東イスラム諸国に向けた外交政策の新たな枠組みである。

クリントン訪問の狙い


 サーレハ大統領と会談したクリントン国務長官は、イエメンに「アラビア半島のアルカー・・・