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経済

誤算続きの日産インド事業

ゴーン流「大風呂敷経営」に黄信号

2011年2月号

「この工場はルノーと日産の世界戦略上の重要拠点。我々はここから百カ国以上に輸出する」。ゴーン氏は二〇一〇年三月、インド南部の港湾都市チェンナイ近郊オラガダム工場の開所式でこうぶち上げ日産・ルノー連合はインド事業の本格展開に乗り出した。この拠点は日産とルノーによる「アライアンス生産方式(APW)」を導入した初の工場。いわば「ゴーンの申し子」とも言える同工場は、芝生の手入れだけでもインド人二百人を雇う広さだ。しかし、ゴーン氏の「根拠なきポジティブ経営」と「強欲外交」の前には、広大な工場も「無用の長物」。合弁相手からは次々と「離縁状」が叩きつけられ、計画修正は常態化。立ち上げたばかりの日産インド事業は、早くも迷走している。

二社との無節操な「浮気」


「おいおい、できるわけがないだろう」
 当時、日産のインド市場参入計画を最初に聞いた周囲は皆、荒唐無稽な計画に唖然とし、失笑がもれたものだ。日産の現在に至る誤算の発端は二〇〇七年二月、「ルノー」、「日産」、「マヒンドラ&マヒンドラ」による三社の合・・・