三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

画餅に終わる「待機児童対策」

目的は自民党の「票田潰し」

2011年2月号

 幼稚園と保育所を統合して待機児童解消につなげる「幼保一体化」が動き始めた。政府は一月二十一日、二〇一三年には幼保双方の機能を併せ持つ「こども園(仮称)」をスタートさせる方針を発表した。歴代政権が何度も着手しながら遅々として進まなかった課題が、民主党政権下で急速に進んでいるのは、この問題が実は「自民党潰し」の側面を持つからだ。そして実は、「動き始めた」ように見えるだけで、この先には越え難い壁が待つ。
 菅直人首相の肝いりで昨秋発足した「待機児童ゼロ特命チーム」の事務局長には、前厚生労働省局長の村木厚子氏を起用した。世間の注目を集める「悲劇のヒロイン」を広告塔とすることで、政権浮揚のきっかけとしたい思惑が滲むが、その村木事務局長は周囲にこう漏らしている。
「私は刑事裁判で一年半も仕事から離れていた。その間にこんなに物事が進んでいるとは……」

ここでも「財源の壁」


 少子化対策担当相を兼任する与謝野馨経済財政政策担当相は一月二十一日の記者会見で、麻生政・・・