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経済

全銀協会長になり手なし

「自己都合」で各行が押し付け合い

2011年10月号

「今月の理事会に次期会長行の議題は出るのか」。九月に入って新聞各紙の金融担当記者の関心は、そこに集まっていた。理事会とは、毎月中旬に開かれる全国銀行協会(全銀協)の定例会合のこと。三メガバンクグループが輪番で就任する全銀協会長職は『金融界の経団連会長』とも言われる業界の最高ポスト。毎年、九月の理事会で次期会長行が内定するのが慣例だ。    しかし今年は様相が一変している。三月に起きたみずほ銀行(BK)の大規模システム障害で、二〇一一年度の全銀協会長就任が内定していた同行・西堀利頭取(当時)が会長就任を辞退し、急遽奥正之・三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)会長が三カ月続投したのは周知の通り。七月からは永易克典・三菱東京UFJ銀行(BTMU)頭取が二〇〇九年四月以来、再登板している。奥氏に至っては四月、三井住友銀行(SMBC)で國部毅新頭取誕生とともにSMFG会長になった直後のことで、「全銀協の会員ではないSMFGからの就任になるので、特例措置を取った」(大手行関係者)ほどの異常事態だった。三菱UFJ→三井住友→みずほのローテーションは、今回の西堀辞任で大きく狂い、この三年間・・・