三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

《世界のキーパーソン》ニコライ・パトルシェフ(ロシア連邦安全保障会議書記)

ロシアの「暗部」支える闇将軍

2011年2月号

 一月二十四日に発生したドモジェドボ空港の爆弾テロ事件について、政局への影響を分析し、今後テロ対策の方針立案の鍵を握る人物がいる。ニコライ・パトルシェフ安保会議書記だ。
 クレムリンの頭脳にあたる安保会議事務局を司り、あらゆる情報の集約と分析、国家戦略の立案、大統領への政策提言を行っている。
 髪の毛が薄く、赤ら顔で鋭い眼光。ソ連時代の国家保安委員会(KGB)諜報員によくある風貌だ。ロシア人なら、一目で「その筋の人物」と見分けがつくという。
 一九九九年にプーチン氏が首相に任命された際、その後任としてKGBの後継組織である連邦保安庁(FSB)長官に抜擢された。そしてそれ以降、「ロシアの暗部」を牛耳ってきた。
「プーチンに絶対的な忠誠心を抱き、プーチンも全幅の信頼を寄せる唯一の人物」(ロシア政府筋)
 元FSB諜報員、冷酷無比な国家主義者という共通点が、両人を結び付ける。それゆえ、大将にも昇格し、「ロシア連邦英雄」の称号といった数多くの勲章が与えられた。表舞台にはほとんど姿を現さず、メディアで報じられることも少ないが、ロシアの政財界では「・・・