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経済

瓦解必至の総合取引所構想

聞こえるのは内輪揉めばかり

2011年3月号

 二月中旬に世界を駆け巡った、NYSEユーロネクストとドイツ取引所の年内合併、さらにはロンドン証券取引所とカナダ・トロント証券取引所の合併という二つの発表は、世界の証券取引所の大再編のムード以上に、国内取引所が世界から取り残されている現状を浮き彫りにした。それも、国内証券界において今年最大のテーマとなるはずだった「総合取引所構想」の関連法案が国会提出見送りになった直後であっただけに、それはさらに強く印象付けられた。
 国会提出見送りの背景としては、政局の混乱に加え、金融庁や経済産業省、農林水産省など関係省庁間の権益争いも取り沙汰されているが、当の各取引所の動きも絶望的なまでに鈍い。危機感もなく機能不全の東京証券取引所、東証の風下には立ちたくない勝ち気な大阪証券取引所。天下り先確保に汲々の金融庁。この構想は早くも瓦解必至の情勢だ。三省庁は「遅くとも二〇一二年の通常国会への関連法案提出を目指す」などとするが、もはやその見通しさえ本気で信じる向きは関係者の間には少ない。

国際感覚ゼロの東証


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