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経済

電気自動車潰しで結託する日本勢

世界の時流に逆行する「愚行」

2011年3月号

 一九九〇年代後半から二十一世紀初頭まで「究極のエコカー」と脚光を浴びた燃料電池車(FCEV)。現在ではハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)の陰に隠れて存在感が希薄だが、ここにきて新たな動きが出てきた。
 二〇一一年一月、国内の自動車、エネルギー関連十三社が、FCEV普及に向けて共同で取り組む声明を発表した。一五年をめどに「水素ステーション」を東京、名古屋、大阪、福岡の四大都市圏に百カ所設置し、それに合わせてFCEVを発売する方針だ。しかし、参加企業の「本気度」は低いという。ではなぜこの時期に「忘れられかけているFCEV」が忽然と再登場したのか? そこには、日本車メーカーの実に呆れた「狙い」が隠されている。

狙いは内燃機関の延命化


 声明を出したのはトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の自動車三社と、JX日鉱日石エネルギー、出光興産、昭和シェル石油、東京ガス、大阪ガスなどのエネルギー関連十社。政府が一〇年にまとめた「エネルギー基本計画」によると、FCEVの普及開始は一五年で、共同宣言・・・