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連載

あるコスモポリタンの憂国 連載50

シンクタンクの質と量と民間力
清華大学招聘教授 紺野 大介

2011年3月号

 米国ワシントンDCには上質のシンクタンク(Think Tank)や高等研究機関が多い。数年前、ETT(創業支援推進機構)理事でコロンビア大学政治学博士・政策研究大学院大学の角南篤准教授の要請によりCSIS(戦略国際問題研究所)で開かれたPRANJ(政策海外ネットワーク)で講演したことがある。聴講者はIMF(国際通貨基金)、WB(世界銀行)、日本大使館、日銀、環境省、共同通信、時事通信、ジョージタウン大学ほかCSIS関係者も出席した。CSISは外交政策にインパクトを与えることを使命とし設立された専門型保守系シンクタンク。一九六四年、ジョージタウン大学の付属研究所として設立され、八七年大学から独立した。年度予算約二十億円の八〇%は個人、企業、財団からの寄付金で運営される非営利組織で、所謂NPOである。又ポトマック川を挟んだアーリントン側には国家安全保障に関係する軍事戦略研究の拠点・ランド研究所。総て計数管理下「どのように戦争を展開し、どのように勝利するのか」軍や米国政府へ助言する非営利組織である。
 一方、ワシントン郊外のベセスダにあるNIH(米国国立衛生研究所)。周知の通り、・・・