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原油高に翻弄されるインド経済

インフレと財政赤字増大の二重苦

2011年4月号

 インフレが深刻の度を深めるインドにおいて、二月末に発表された次年度(二〇一一年四月~一二年三月)予算案には同国がはらむ幾つもの矛盾が色濃く投影された。
「次年度の財政赤字はGDP比五・一%から四・六%に減少する見通しだ」。ムカジー財務相は予算案発表の場でこう述べ、懸案のインフレ対策の手を緩め、目下の難題である財政再建への意欲を示したが、この発言こそインド財政当局の混乱と苦悩を浮き彫りにしている。これに先立つ二月二十一日、パティル大統領が予算国会の開幕にあたり「次年度、政府の最優先課題はインフレ」と述べ、経済諮問委員会ランガラジャン委員長も「問題はインフレ、金融と財政両面での引き締めが必要」との提言を示していたからだ。今では政府の迷走は誰の目にも明らかになっている。
 インドの二月のインフレ率は「沈静化する」との市場の見方を無視するように前年同月比八・三一%上昇と再加速、高止まりが続いている。石油需要の約八割を輸入に頼るインドでは、さらなるインフレを誘発する現在の国際原油市況はとても許容できるものではない。一月の鉱工業生産指数の伸びは三・七%と失速感も出始めて・・・