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政治

断末魔でのたうつ菅直人

心神耗弱で「自発的退陣」の可能性も

2011年4月号

 二〇一一年三月十一日午後二時四十六分、マグニチュード九・〇の巨大地震が東日本をのみこんだ。危機は普段は見えない組織に潜む危うい内部構造を白日の下にさらけ出す。「観測史上初」「未曽有」「想定外」……。不安を掻き立てる言葉が飛び交う。だれもが未体験の惨状に目を覆った。だが、ただ一つだけ相当程度の確率で想定されたことがあった。首相菅直人の度し難いリーダーとしての資質のなさである。
 大津波が襲った岩手、宮城、福島の三県を中心に死者・行方不明者は三万人に迫る。地震、津波、原発事故。どれもが複合的に絡み、連鎖的に被害を拡大させた。そして何にも増して混乱に拍車を掛けたのが首相菅の言動だった。
 大震災の翌日早朝に敢行した内規無視の現場視察、そして原発事故をめぐって東京電力本店への怒鳴り込み。巨大津波のため町全体が影も形もなく消えた厳寒の被災地からは燃料、食料を求める被災者の悲鳴が届く。人命救助に一刻を争う時間帯に最高指揮官が官邸を離れて動き回る。
 危機に直面して最高指導者が心掛けなければならないのは冷静沈着さと全体状況の掌握、そし・・・