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トルコ経済に「バブル」の懸念

米欧にとっては「最悪のシナリオ」

2011年5月号

 堅調な成長を続けるトルコ経済に「バブル」の懸念が浮上している。ここにきて、成長を牽引してきた不動産市場に陰りが見え始めたほか、海外からの投機的な資金流入の反動が出て、国際通貨基金(IMF)などが警戒を強めているのだ。民主化要求デモの拡大で中東情勢が不穏な中、地域大国として足場を固めるトルコまでが揺らぐ事態になれば、中東政策の見直しを迫られる米欧にとっては最悪のシナリオだ。
 一月二十日、トルコ中央銀行は突如、政策金利を〇・二五ポイント引き下げて過去最低の六・二五%に設定すると発表した。中央銀は「経常赤字を抑制するため」などと意図を説明したが、金融関係者の多くはこのタイミングでの引き下げ措置を全く予想していなかった。政策金利は昨年十二月十六日に七%から六・五%に引き下げられたばかりで、この時も市場は驚きをもって受け止めていた。というのも、ブラジルやポーランドなど他の新興国が一様に金利を引き上げているのに対し、トルコだけが正反対の動きを見せているためだ。

「金はどこに流れているのか」


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