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経済

忍び寄る「世界不況」の足音

秋口にも米国でトリプル安再来か

2011年5月号

「もう、米国の大手資産運用会社と銀行で秋のトリプル安(株安、債券安、ドル安)を検討しないところはない。とくに日本の大震災の直後から、どこもこれ以上ないくらい真剣になった」。ニューヨークで筆者が聞いた話だ。
 非常事態が迫ったらどうするか。米国債の手持ちはどこも減らしつつあるものの、あまりに長期金利が上昇(債券価格は下落)すると、自分で自分の首を絞めかねない。債券のリスクヘッジのため、誰もが考える投資先が貴金属だ。米国機関投資家、とくにヘッジファンドは金、個人富裕層と銀行は銀を買いに走っている。
 まず金。この原稿を書いている四月下旬現在、オンス一千五百ドルを超え史上最高値を更新中だ。しかも、先物や金ETF(上場投資信託)などの買いを現物の金地金に切り替えて、将来の現物不足に備える作戦が流行し始めた。
 全米第二位の大学基金、テキサス大基金がその第一号で、主導したのは投資管理会社ヘイマン・キャピタルのJ・カイル・バス氏。同氏はサブプライムのブーム破綻を予見した「売り」で大儲けした著名人だが、このほど十億ドルの金投資を地金の保有に切り替えた。「金は増刷の・・・