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経済

「重傷」三菱UFJが抱える問題児

リテール部門総崩れの「主犯」

2011年5月号

 小誌前号がいち早く詳報した通り、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の中核子会社である三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)の巨額損失が発覚し、新聞紙上を騒がせた。トレーディングで評価損が膨らみ、最終赤字は実に一千四百五十億円を計上、秋草史幸社長も経営責任をとって辞任することになった。
 発足初年度でのあまりに大きな躓きの末、同社では業務改善計画も発表し、早くも七百五十人のリストラを断行する構えだ。社内はもっぱら厭戦ムードに包まれているというが、MUFGにおいて今、このMUMSSにも増して、迫りくる「粛清の嵐」に怯えている部門がある。三菱UFJニコスだ。
 MUFGでは証券部門に劣らず、リテール部門の惨状も深刻なのは周知の通りだ。過払い利息の返還請求の増加で赤字を垂れ流し続ける消費者金融のアコムは前期二千億円強の最終赤字を予想。グループからの切り離しがたびたび取りざたされる。そして、三菱UFJニコス。先ごろMUFGと農林中央金庫から合わせて一千億円の資金注入を受け、MUFGのノンバンク戦略の「完全なる破綻」を世に知らしめた。
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