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経済

《クローズアップ》永易克典・次期全国銀行協会会長(三菱東京UFJ銀行頭取・三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)

「内憂外患」で問われる指導力

2011年5月号

「瓢箪から駒」とはこのことかもしれない。全国銀行協会会長に七月一日付で就任することになった。元々、みずほ銀行西堀利頭取が就任することが内定していたが、東日本大震災直後にみずほ銀行の現金自動預払機(ATM)が全面的に停止するなどのシステムトラブルを起こし、全面復旧に十日も要した。西堀氏は頭取辞任の可能性が高まったため辞退、永易氏に白羽の矢が立った。永易氏は二〇〇九年度にも全銀協会長を務めており、一年を置いての異例の二回目の就任となる。
 全銀協会長は三メガバンクの回り持ちで、しかも任期一年。さほど大きな意味はないものの、「バンカーなら誰でも一度はやってみたい名誉ポスト」。それだけに会長の座をほぼ手にしながら滑り落ちた西堀氏は悔やんでも悔やみきれないだろう。
 一方、永易氏の全銀協会長就任が内定してから、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は大きな動きをみせた。資本提携先の米金融大手、モルガン・スタンレーを連結対象にしたからだ。MUFGは〇八年九月のリーマンショック直後、経営不振に陥っていたモルガン・スタンレーを支援、九十億ドルの優先株を取得した。優先株自体は・・・