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経済

いよいよ現実味増す「ユーロ崩壊」

国益担う米ヘッジファンドが暗躍

2011年6月号

「本当は米国債の金利が上昇してもおかしくない状況なんだけどね。何しろいろんなハプニングがいい方に向いたからなあ」。ある大手ヘッジファンドマネジャーがこう本音を告白してきた。 
 五月十六日、オバマ政権と共和党との話し合いが決裂。米国の財政収支の赤字の上限が引き上げられずに終わった。本来なら米国債を発行して連邦政府の業務を遂行すべきところに、政争からブレーキがかかってしまったのだ。
 具合の悪いことは続く。昨年十一月から今年六月まで六千億ドルのワクで米FRBが米国債を購入するという、いわゆるQE・(量的金融緩和第二弾)が五月第一週の段階で七週間も残してワクを使い切ってしまった。米国債の有力買い手の日本銀行は、大震災でとても買い支える余力はない。本来なら三・三%台の長期金利が四%台に迫ってもおかしくないはずだが、実際には逆に三・一%台に下落し、債券投資は十分に儲かった。
 その代わりに、米FRBによる市場へのマネー供給は急減、このためインド株をはじめとした新興国株、急上昇が続いていた銀と銅、原油価格などが急落した。金価格も若干だが下落して「五月は売りの月・・・