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中南米でも苦境に立つオバマ外交

「北米抜き共同体」設立の衝撃

2011年6月号

 米州三十五カ国のうち北米の米加両国を除く、「ラテンアメリカ(ラ米)およびカリブ」(LAC)地域の三十三カ国は来月(七月)五、六両日ベネズエラの首都カラカスでLAC首脳会議を開き、「ラ米・カリブ諸国共同体」(CELAC)を設立する。この動きは、米国がLAC支配の野望を明確にした一八二三年のモンロー宣言の二百周年まであと十二年と迫った今、LAC側にある「北米抜きの統合」の歴史的な理想が形の上で整うことを意味し、米州史上画期的なことだ。ラ米諸国の多くが独立二百周年を迎えつつある今、生まれようとしているCELACは「米国の覇権」の衰退を象徴する。バラク・オバマ現政権も決定的な対抗手段が打てない状態だ。

ブッシュ時代からの威信低下


 CELAC創設を推進してきたのは、ベネズエラ、キューバ、ボリビア、エクアドル、ニカラグアの反米左翼五カ国、およびカリブ英連邦三国の計八カ国がつくる「米州ボリバリアーナ同盟」(ALBA)と、南米十二カ国で構成する「南米諸国連合」(UNASUR)内の中道左翼諸国である。ALBA・・・