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政治

資質問われるルース米大使

「トモダチ作戦」の舞台裏

2011年6月号

 小泉政権時の「蜜月時代」から民主党政権になって「暗黒時代」に突入した日米関係は、東日本大震災での米軍による救援・救助活動「トモダチ作戦」で、再び強固な絆を取り戻したと喧伝されている。これは、軍レベルでは概ね正しい。しかし、東京電力福島第一原子力発電所の事故対応を巡って、政治レベルでは深刻な相互不信が生まれ、今も尾を引いている。そして、その問題因子が誰あろう、ジョン・ルース駐日米大使だったことはあまり知られていない。
 相互不信劇の幕開けは、震災翌日の三月十二日だった。
 前日に「米国は日本に対する全面的支援を惜しまない」と声明を発出したルースは、その言葉通り、十二日に首相官邸に電話し、「あらゆる協力」を申し出た。
 当初、ルースは「米国の専門家に協力させたい」とやんわりと打診した。応対した枝野幸男官房長官も「ありがたい」と応じた。ところが、徐々に、ルースの「申し出」は、「要求」であることが分かってくる。「要求どころか命令だ」と憤怒する日本政府関係者さえいた。それは、「米原子力規制委員会(NRC)の専門家を首相官邸に常駐させろ」という、「押しかけ協力・・・