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政治

《罪深きはこの官僚 》北川慎介(経済産業省総括審議官)

欺瞞の「東電救済策」を作った守旧派

2011年6月号

 五月十三日に閣議決定された東京電力福島第一原子力発電所事故の賠償支援策は、東電解体が回避される甘い内容であることから、一部では「(東電が生き延びる)ゾンビスキーム」と酷評されている。この東電救済策を実際に作成した人物とされるのが、現在内閣官房の「原子力発電所事故による経済被害対応室」室長を務める北川慎介・経済産業省総括審議官だ。
 北川は電力会社の地域独占体制を温存してきた歴代の経産省主流派の意向を背に、同省トップの松永和夫事務次官が東電解体阻止の密命を与えて「対応室」のトップに派遣した“子飼い”とされる。
 北川らが作成した「新機構設立案」は、「原発賠償機構」(仮称)を新設し、そこに国庫(交付国債)と電力会社の拠出金を出した上で、東電の「利益」から賠償金を返済していくスキームだ。企業の破綻処理の三原則である・経営者が辞めてリストラで従業員も泣かせること、・一〇〇%減資で株主を泣かせること、・債権放棄で金融機関も泣かせること、が全く抜けており、負担をすべて国民にツケ回す内容だ。
 北川は賠償案策定の過程で、同じ経産省の大臣官房付・・・・