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社会・文化

被災地で跋扈する「反社会勢力」

復興利権に食い込む

2011年6月号

 ゴールデンウィーク真っ只中の五月五日。被災地の福島県南相馬市に出向していた警視庁組織犯罪対策部の捜査官は、唖然とした。まだがれきの整理もままならない街角で、見覚えのある人物を見つけたのだ。それは紛れもなく、新宿・歌舞伎町で見た顔だった。
 その人物とは、ある在日中国人互助団体の代表(主席)だ。仮にXとする。Xは日本人の女性と結婚し帰化しており、表向きは日本名で知られている。そして彼は、都内の中国人犯罪を捜査する警察官では知らない者はいない、有名な「中国マフィア」の幹部の一人なのだ。中国残留孤児の二世、三世もメンバーに加わるこのグループにおいて、Xはナンバー2だとみられている。
 そんな人物が、被災地で一体、何をしていたというのか。前出捜査官が話す。
「目的は、がれき処理の『復興利権』に食い込むこと。Xの本業は日本と中国にまたがる産業廃棄物の処理業者だ」
 表向きは、ボランティア活動として現地に赴いている。Xが主席を務める団体は避難所を訪問して餃子を振る舞い、被災者たちには好評だった。しかしこれが、実はパフォーマンスに過ぎないのだという。<・・・