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WORLD

《世界のキーパーソン》デビッド・ペトレイアス(次期米中央情報局・CIA長官)

オバマの「秘密戦争」の担い手

2011年6月号

 二十一世紀のアメリカで、これほど称えられた軍人はいない。ブッシュ政権下では、泥沼化したイラク戦争の戦況を立て直し、オバマ政権下では、混迷のアフガニスタンで指揮をとった。まさに、大統領の最終兵器、である。
 オバマ大統領は、今年五十九歳になるこの英雄に、中央情報局(CIA)長官のポストを託した。国防長官になるレオン・パネッタ氏の後任だ。大統領は以前、イラク戦争に反対する若き黒人上院議員として、イラク「増派作戦」の将軍と、議会の公聴会で対決した。この時に始まった二人の、短いながらも濃密で複雑な関係は、新段階に入る。
「ペトレイアスは、イラクでもアフガニスタンでも、テロ組織と戦ってきたプロ。加えて、パキスタンの軍幹部とは非常に良好な関係を持っている。米国が進める『秘密戦争』の担い手として最高の経験を持つ」と米消息筋は見る。
 CIAは現在、「宣戦布告なき戦争」を複数の国で展開中だ。地上の諜報活動で、国際テロ組織「アルカーイダ」幹部らの居場所を探り出した上、無人爆撃機で攻撃する。パキスタンやイエメンの山岳地帯が主戦場だが、どちらも秘密性が高い作戦だ。
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