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経済

金融庁をあざ笑うゴールドマン

不良金融会社を手先に荒稼ぎ

2011年7月号

「そろそろ、トラ退治に本腰を入れるとするか」
 金融庁幹部が最近、こうつぶやいた。優勝候補と目されながら勝率五割をウロウロしている人気のプロ野球チーム・阪神タイガースのことではない。トラはトラでもロプロ(旧日栄)など貸金業やサービサー、不動産などを抱える中堅ノンバンクグループ「Jトラスト」のことである。この通称Jトラに対していま、金融庁が東京地検と連絡を密にして摘発しようと水面下で動いているのだ。
 金融当局と地検が注目しているのは、破綻した事業者金融のロプロなど七社を傘下に抱えながら、連結純利益三十二億円に過ぎないJトラストグループがこの十年近くで次々に企業買収した特異な資金力である。その疑惑はJトラが六月上旬、楽天の消費者金融事業を四百十五億円で買収することになったことで決定的になった。
 後述するように、Jトラの悪質な営業実態に対して神経をとがらせていた金融庁は、ことあるごとに解体へと追い込む機会をうかがっていた。その金融庁の思惑をあざ笑うかのように、派手な買収工作をやめないJトラ。そのJトラを背後から資金面で支え、日本市場での荒稼ぎの「手先」・・・