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WORLD

変節した「アルジャジーラ」

「イスラム偏向」で信用失墜

2011年7月号

 かつてそのテレビのインタビューを受けることは一流の証明だった。世界中の首脳が、有力政治家が、長い列を作っていた。パウエル(米元国務長官)が、ブレア(英元首相)が、そして日本のコイズミ(元首相)までもが出演し、歴史を創る発言を残した。
 かつてこの放送局は第一次情報の泉だった。単に、ビンラディンらテロリストから届けられるビデオテープに依存していただけではない。彼らのカメラが捉えた映像が、彼らのキャスターのコメントと共に世界中のメディアで引用された。CNNは米国のアフガニスタン攻撃をカバーする上でこの局をパートナーに選んだ。タリバン側から報道できる唯一信頼できる情報ソースであったからだ。
「ひとつの意見があれば、別の意見もある」との社是を忠実に実行し、優れて客観的な報道に徹するアルジャジーラの姿勢は高く評価されていた。アラビア語放送であるためのハンディを別にすれば、その影響力はBBCを凌ぐ勢いがあった。単に中東のニュースだけではない。欧米の問題に関しても鋭い分析をどこよりも早く届けていた。あるとき、筆者は某編集幹部に「アラブ人が関心を持たないようなアフリカの些末・・・