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経済

「お殿様」としての電力会社

「地域独占」が生んだ異様な怪物

2011年8月号

 玄海原発(佐賀県)の運転再開をめぐる「説明番組」に関連会社関係者が大量の再開支持の“やらせメール”を送っていたことが発覚した九州電力。夏場の電力供給の確保のために、運転再開を焦った会社側の勇み足という面はあるが、地域世論を力ずくで形成しようという手法には電力会社の独善的な体質がはっきりと映し出されている。
 同時に納入企業にまでメールの発信を求めながら、やらせの発覚を防ぐ手立てを何も講じていない“お間抜けぶり”には電力会社の別の顔も窺える。圧倒的な地位と権力を地方で確立したがゆえに、周囲に忠告や意見をしてくれる人や組織を持たない「裸の王様」の姿である。
 自社管内に大企業の集まる東京、中部、関西電力の三社は別として、北海道電力から沖縄電力までの電力会社で自社よりも売り上げ規模が大きな企業のある電力会社は、マツダの本社を広島に抱える中国電力だけだ。その中国地方にしても経営の安定性、地域経済への影響などを含めて考えれば、やはり地域を代表する企業は中国電力といってよい。それほど、電力会社は地方経済で圧倒的な存在感を持・・・